日本の原爆投下74周年を思い出す
私たちは核問題に憂慮するアメリカの平和団体と市民の連携グループです。この地球上から核兵器が廃絶されることを訴えています。広島と長崎の原爆投下によって殺された方々へ、遺憾と謝罪の意を心からこめて慰霊の花束を捧げるために、ここ在ニューヨーク日本総領事館の前に集まりました。戦争犯罪であり人道に対する罪であった原爆投下に対し、私たちの政府は今まで正式に謝罪をしていませんが、70年以上に渡って精神的及び身体的苦難を受忍せざるを得なかった被爆者の方々へも、私たちは謹んで心よりお見舞いとお詫びを申し上げます。

ニューヨークの日本総領事館前での平和な集まりは、広島と長崎の原爆を思い起こさせます。
1987年には、射程500キロから5500キロの地上配備型ミサイルを禁じる中距離核戦力全廃条約に、レーガン大統領とゴルバチョフ書記長が調印しました。今年の2月、トランプ大統領はこの条約に基づく履行義務を停止することを正式に表明しました。アメリカとロシアが合計9割以上の核弾頭を所持していることを考慮すると、トランプ大統領によるこの方針は、米ロ間だけではなく、世界各地の国家間で不必要な緊張をほのめかし兼ねません。
70年以上も続いた核抑止政策によって、世界はより危険になったというのが世界的に一致した意見です。私たちの政府に対し、武器の使用を制限する条約を維持することの重要性を求めながら、122か国から絶賛され2017年に国連で採択された核兵器禁止条約に署名と批准をするよう、私たちは声を上げ続けることをここに約束致します。同時に、日本が同条約に署名、批准、及び推進にリーダーシップを発揮することで、米国の同盟国の中では米国の「核の傘」から脱却する最初の国になることを切望します。また、日本が平和憲法を守り、朝鮮半島における平和体制の構築を支持することを私たちは強く求めます。
軍事用、民間用にかかわらず、核技術の使用には膨大なリスクと予想外の莫大な結果が伴うものです。チェルノブイリ以来最悪の核災害である2011年の福島での原発事故の影響で、日本は多くの困難を抱え続けています。3基の原子炉の炉心溶融と爆発を経験した福島第一原発事故により、16万人もの市民が避難を余儀なくされました。8年経過した今でも、5万人以上の市民が避難を続けています。福島第一原発の作業員が廃炉作業と核廃棄物に苦戦している傍ら、敷地内に保管されている放射性汚染水の量が百万トンを超え、増加の一途をたどっています。被曝による健康への影響の一つとされる甲状腺がんの発症率が、子どもたちの間で増えています。
福島での現実は、安倍晋三首相が2013年に発表した「アンダーコントロール」から程遠いものです。ですが、安倍首相の偽った主張もあり、東京は2020年の夏のオリンピック招致を勝ち取りました。最近の報道によれば、事故を起こした原発からわずか10マイル程の所にある福島の「Jヴィレッジ」スポーツ施設が、五輪聖火リレーの出発点になります。聖火リレーは合計25の福島県の自治体で行われ、そのうち9カ所は原発から30マイル以内に位置しています。更に、東京から150マイル以上も離れ、「東京」オリンピックという名前に矛盾する土地の福島市で、ソフトボールの全試合と野球の1試合が行われる計画に対し、私たちは大きな不安を抱いています。また、2020年の夏は日本に対する原爆投下から75周年という節目を迎えます。その年の8月9日にオリンピックの閉会式が予定されていますが、その日は1945年の残酷な原爆で長崎市が壊滅した日にあたります。

おばあちゃん平和旅団、ニューヨーク市。
世界で核兵器や核技術の廃絶を実現することは政治ゲームではありません。それは私たちの子どもたちや将来この地球に生まれる次世代に対する、私たちの道徳上の義務なのです。それぞれの身分や出身や信条よりも重要なことなのです。第二次大戦以降、被爆者や彼らを支援する人たちが望んできた核の無い世界への道を、私たちは歩み続けなければなりません。
核に対する世界秩序が崩壊しつつあり、核兵器の使用リスクが増加している懸念すべき現状について、2019年1月24日に行われた原子科学者会報による「2019年終末時計」の発表会見での声明の一部を、私たちの結びの言葉とさせていただきます。
「核や気候変動、及び情報戦の脅威が交差している現状を、単に無視したり否定しているだけではなく、それらを十分に認識したり問題視していない状況は、持続不可能な事態である。世界の指導者や市民らが、最近のこの異常な現状を深刻に受け止めなければ、人類が未だかつて経験したことのない大惨事をこの世界は経験することになるだろう。」
ノーモアヒロシマ
ノーモアナガサキ
ノーモアフクシマ
ノーモアウォー
ノーモアヒバクシャ
絶対に二度と!
2019年8月5日
Freedom II Andres / Creative Commonsによる広島ドームのヘッドライン写真。